大判例

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大阪高等裁判所 昭和24年(を)2699号 判決 1949年11月21日

被告人

杉山誠治

外一名

主文

原判決を破棄する。

本件を大阪地方裁判所に差戻す。

理由

被告人高瀨欽造の控訴理由第一点について。

記録十六丁より二十五丁に至る間の丁数の記載が欠如して居り且、その間の枚数が前後の丁数から判断して十枚であるべきところ八枚しかなく右部分は原審第一回公判調書の全部に亘つておる。しかも右公判調書の契印の印六丁影と右公判調書作成者たる裁判所書記の署名下の印影を比較対照するにその印肉が相異しておる尚。二十の契印の印影が二重になつておることが窺はれる。右の各事実を綜合すれば本件公判調書は判決宣告後に於て記録が整理せられて一連の丁数が記入された当時の公判調書とは異つた公判調書が現に編綴せられておるものと認めざるを得ない、從つて公判調書が法定の期間内に整理せられたと認めることは至難であつて刑事訴訟法第四十八條第三項の違反があることを推認することができる、從つてかゝる公判調書によつて証拠調の正確性を証明することは不能であるから右違反は判決に影響を及ぼすこと明らかなる訴訟手続の法令違反であると言はねばならぬ。

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